されど我が大倉尾根

思考回路に浸み込んだ大倉尾根

大倉尾根は丹沢で最も人気の尾根である。何故か。東京からのアクセスもよく、標準コースタイムが登り3時間半、下り3時間、標高差1200メートルという手ごろな難度が人気の元となっているのだろう。しかし、階段が続く単調な尾根道は決して面白い尾根ではない。殆ど修行に近い。私もいままで何十回となくこの尾根を登ったがいいかげんに飽きてきた。そんな訳で最近は私のフィールドは高尾、山梨方面に移っていった。
週末、あてにしていた予定が天気の不順で取り止めとなり、さりとて山へは行きたいし、さあどこに行こうか。まるで飲み屋を探しているのと同じモードで山行を考える.。老化のため思考能力低下した脳みその思いつくのは、やはり大倉尾根。前日は雨だったのでもしかして霧氷が見れるかも、などとせめて多少の意味づけをして行くことにした。
拡大すると大倉尾根が判ります


花立茶屋まで

早朝渋沢駅を降りると正面に目指す塔ノ岳が見える。天気はよさそうだ。いつもならほぼ満員状態のバスも何故か今日は乗客がまばらだ。7時半、バス停を降り、登山を開始。いままで何十回と歩いたおなじみの大倉尾根だ。どこでどのような登りになり、どの程度時間を要するか、すべて経験値が頭に入っている。冬枯れの木々を通して見える表尾根を見上げながら登り続ける。表尾根の木々の色具合から今日は霧氷は期待できそうもない。残念だ。
冬枯れの登山道

9月のほぼ同じ場所

1時間ほどで山頂までの中間点にある「堀山の家」に到着。木々に囲まれた展望もない狭いスペースだが殆どの登山者はここで一息入れる。ここから次のポイントである花立茶屋まで1時間ほどは本格的な登りとなるからだ。この登りは大倉尾根の核心部だ。ザックを下ろし一息入れた後に「さあ、登るぞ」、自分に掛け声をかけ勢いよくザックを背負い歩き始める。
堀山の家

この先はコースの中で最も登山者のペースの差がでるところ。どんどんとテンポよく登っていく人、汗を流しながら息づかい荒く登る人、休みながらゆっくりと登る人。私はあせらず、有酸素運動の範囲で慎重にゆっくりと歩を進める。やがて花立茶屋までの長い階段となる。胸突き八丁で有名な階段だ。一度数えたら300段以上あった。この階段を相模湾を背にして登る。この階段、もともと裸の尾根に作ったので、夏の炎天下では地獄だ。この階段を上ってきた登山者は思わす花立茶屋の「かき氷」を食べてしまう。ちなみに冬は「汁粉」を売っている。
花立茶屋への長い階段
階段を花立茶屋より見下ろす。天気がよければ相模湾を一望できる。

山頂へ、そして下山

花立茶屋まで登ればあとは山頂まで登り200m。なだらかな登り道となる。鍋割山からの尾根道と合流し、いっきに山頂をつめたのが11時であった。山頂は雲がかかり、風が吹き荒れ、寒い。富士山も見えない。これでは腰を下ろす気にもならない。記念撮影のあと、すぐに下る。このままピストンで下るのもつまらないので、鍋割山方面に進み、小丸より二股方面に下り、西山林道を歩き、大倉に戻ったのは15時半であった。
山頂手前の登山道

山頂は雲がかかっている
山頂でランチの支度


小丸からの下山口

されど我が大倉尾根

いままで大倉尾根は何回も通ったので、この秋は山梨方面、高尾方面の山々に登っていた。関東にはいろんな面白い山々があるのだと感激していた。が、今回は久しぶりの大倉尾根。やはり時々は登ってみるのもいい。慣れた道を自分のペースで歩くと自分の体力の変化が判る。同じルート故に季節の移り変わりを実感できる。今回は浮気して家出をした亭主が住み慣れた我が家に戻ってきた場面か。大倉尾根は何も言わず私を受け入れてくれた。私にとって大倉尾根との付き合いはまだまだ続きそうだ。されど我が大倉尾根だ。

登山中のラジオ音はNGです

登山はいろんな人がいろんな思いで登っている。ところがラジオの音を流しながら歩いている登山者がいる。興ざめですよね。今回もこんな登山者がいたので思わず「やかましい」と言ってしまいました。
大倉のブロッコリー畑から表尾根

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