計画
2014年11月22日自宅が丹沢の麓にあるためついつい奥多摩には無関心であった。これまでも雲取山に行ったことがあるぐらいである。ところが最近、山梨の山々を歩くに従い、そこに連なる奥多摩の山々にも興味を持つようになった。そろそろ雪も降るころだ。その前にまずは一度奥多摩を歩いてみようと思い立った。
そこで立てたプランは奥多摩の代表的な山の一つ三頭山を奥多摩湖に浮かぶドラム缶橋を渡って、奥多摩三大急登のひとつヌガサス尾根から登ってみることにした。下山は都民の森だ。三大急登とはいっても標高差は1000程度だから大倉尾根と大きな差はない。中学の同窓生E.Fさんも先日ここを下っていた。多分大丈夫だろう。
今回は登山口までバスでアクセスして、下山後もバスで駅までアクセスする。時間の制約がある。奥多摩駅から8時35分のバスに乗り、下山後は14時46分(予備として次のバスは15時56分)のバスに乗ることにした。初めてのルートだし、標準タイムで歩いてもあまり時間的余裕はない。ランチはそのまま口に入れることができるコンビニのオニギリにして、休憩はとらず、ゆっくりペースで歩き続けることにした。
ドラム缶橋まで
衆議院が解散。何故か高揚感がない。なんでいま選挙?魂胆が見えすぎだ。国民、民主主義を愚弄してるとしか思えない。国民がいま一番ほしいのはお金ではない。希望だ。株価なんてどうでもいいのだ。悪夢から目が覚め、朝5時50分の小田急線に乗り、登戸駅経由で南武線で立川まで。南武線は久しぶりだ。南武線のイメージは立川基地、府中競馬場、京王閣(競輪)、京浜工業地帯である。競馬新聞を持った労働者が急ぎ足で登戸駅で乗り換える。そんなイメージの南武線だが、久しぶりの登戸駅は私のイメージは偏見だったことに気づいた。近代的な駅に建て替えられ、きれいな列車が走っている。早朝から多くの人が乗り降りしている。
早朝の登戸駅、晴天の予感 |
立川駅も近代的な駅に生まれ変わり、「基地の街」のイメージを一新している。変な感心をしながら立川でホリデー快速奥多摩行きに乗り換える。ホームは既に多くの登山者で溢れいている。奥多摩行きの本数が少ないのでこの列車に集中するみたいだ。
立川駅でホリデー快速を待つ |
到着した列車もすでに席は空いていない。登山者を乗せた列車は山間をゆっくりと走る。単線なので、ところどころですれ違いの停車。快速でもなんでもない。立ったまま1時間半、奥多摩駅に到着。当然だがバスも登山者で満車。職員がテキパキと登山者をさばいている。3連休の初日なので大きなザックを背負った雲取山登山者が多い。雲取山登山者と一緒にバスに揺られどんどんと高度をあげ、やがて奥多摩湖に出る。およそ30分でドラム缶橋のある小河内神社前の停留場に到着。バス亭で降りた客は4人であった。見下ろすと静かな湖面にドラム缶橋が浮かんでいる。一緒に下りた若いカップルの歓声が響く。私はこれから登る尾根道への不安を抱きながらがら奥多摩湖に浮かぶドラム缶橋へと下りていった。
ドラム缶橋とは通称で、正式には麦山浮橋というらしい |
急登を登る
ヌガサス尾根登山口まではドラム缶橋を渡り20分ほど一般道を歩く。一緒にスタートした4人のうち私だけゆっくりペースで歩く。登山口ではすでに私一人となっていた。登山道は奥多摩湖を背にどんどんと高度を上げていく。段差もなく歩きやすい。木々の間から差し込む日差しが気持ちいい。下を見下ろすと奥多摩湖が静かに佇んでいる。なんだこんな感じか、いやいや急登といわれてるのでこんなこんなはずではない、などと自問自答しながらひたすら登る。途中のポイントであるイヲ山で時計の高度計をセット。奥多摩湖を見下ろしながら登る |
イヨ山をすぎ、しばらく小さなアップダウンをくりかえしていくとヌガサス山が迫ってきた。おお、これはまさに急登だ。岩場の急勾配がはじまる。急登の名に恥じない。ここは上を見上げながら道をはずさないよう慎重に登る。三点確保をするほどではないが、一歩一歩と高度をあげ、1時間ほどでヌガサス山に到着。思い返せばここが一番きつかった。
ヌガサス尾根核心部の登り |
ところで、何をどのように着るか
寒くなると何をどう着るか迷うところである。大きく分けて登山口までのアクセス、歩いているとき、止っているときに何を着るかだと思う。そのうち最も重要なのは歩いているときに何を着るかだ。基本は汗対策。私はこのところメリノウールのアンダーの上にTシャツで歩いている。(途中からTシャツも脱いでしまった)。薄着で歩くことはF.Eさんに教えられた。とにかく汗が服に浸み込むのはやっかいである。この服装だと薄着なので汗はあまりかかないし、多少汗で濡れてもメリノだと肌冷えしない。汗をかかないということは水分補給が少なくてすむという副次効果もある。おまけにメリノは防臭効果も高いし、速乾性もある。まさにメリノ万歳だ。この時期だと停止中はこの上にスリーフの類かベストまたは雨具を着るだけで防寒に十分だ。冬はダウンをはおればいい。質素なヌガサス山の標識、遠くに奥多摩湖が見える |
山頂へ
ヌガサス山は標高1170。三頭山は1500だからまだ登りは続く。やがて落ち葉で覆われたザレた急斜面となる。ここも三大急登といわれる所以か。あとで知ったのだがこの急こう配を「オツネの泣き坂」というらしい。これを登りつめると、ようやくなだらかな尾根登りとなる。先程までの急勾配の後なので楽に歩ける。1400を過ぎたあたりからなんと薄っすらと山肌は雪化粧。今日は地下足袋でなくてよかった、などと思いながら雪を踏み、12時50分に山頂到着。ほぼ予定通りの時間だ。富士山が見え、多くの登山者が休んでいた。
やがてなだらかな尾根道となる |
雪道となる |
殆どの登山者はこれから下る都民の森から登ってきたのだろう。1時間半程度で登れるし、いろいろなコースを楽しめる。ここも東京だ。そういえば来年、私の出身校の写真部展示会のテーマは「東京の肖像」だったな、などと思いながらオニギリをほうばった。
山頂 |
富士 |
下山 オニギリを食べ終えて、時計を見ると13時を少し回ったところ。帰りのバスは14時46分だから十分に余裕はある。ゆっくりと下り始める。せっかくだから三頭山の東峰とかいうところにも足を延ばし、展望を楽しんでいく。ここからの下りは道も整備されて歩きやすい。林の中を1時間ほどあるいて14時10分にバス停に到着。ここは駐車場でもあり、ライダー達が沢山休んでいた。紅葉の山道ライディングを楽しんでいるのだろう。バスを待つ間、汗を飛ばし、上着にフリースをはおる。メリノは汗冷えしないことをあらためて実感。やがて秋川渓谷の谷間をバスに揺られ、1時間ほどで武蔵五日市の駅に到着した。15時50分であった。
総括
初めての奥多摩日帰りハイクはバリエーションに富んで楽しかった。山の懐も深いので、いろいろなルートが楽しめる。今回のルートも都民の森以外にもいろんなところへ下りられる。逆コースもありだ。バス便も整備されているので助かる。ただ登山口まで私の住まいからのアクセスが遠いのが難点だ。登山口まで3時間はつらいところだ。これからしばらくは高尾、大菩薩、奥多摩エリアを楽しんでみたい。オツネの泣き坂について(後日に追加)
今回、ヌカザス尾根を三大急登ということで登ってみたが、途中の落ち葉のザレ場は「オツネの泣き坂」といわれる名所であったことを後で知った。その昔、オツネという女の子が恋人との逢瀬からの帰り、夜が明けようとして、見つかったら旦那様に叱られると泣いた所がこの坂だそうだ。決して坂がつらくて泣いたわけではない。いや、むしろ三頭山を越えて恋人との逢瀬をしたのだからオツネさんは健脚であった。せっかくだから、オツネの泣き坂がどんなに急斜面なのか画像を追加しました。
ご覧のように殆ど45度の急斜面です。オツネさんはここを駆け下りたにちがいありません。
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