夏山シーズンは八ヶ岳から

高度を求めて

5月30日、八ヶ岳の編笠山から西岳と周回歩きをした。目的は北、南アルプスの夏山シーズンを迎えるにあたり、2000メートル超の高度に身体を慣らすため。どうも私は高度に弱い。標高が2000mを越えた辺りから息切れがいつもより激しくなるのが判る。今回のコースの標高は2500だからお試し歩きにはちょうどいい。日帰りもできる。そんな訳で早朝4時半に編笠山を目指して自宅を出発した。
中央道「八ヶ岳SA」より八ヶ岳

登山口へ

遠くに南アルプスの山々を遠望しながら中央高速を走り、小淵沢インターで下り、登山口の富士見ゴルフ場に着いたのが6時半。もうここは八ヶ岳の麓だ。森の中からカッコウの声がこだまする。これから歩くコースは一昨年に歩いているので道中の様子はだいたい判っている。ネット情報でも残雪の心配はない。途中に水場もある。今年になって愛用しはじめた軽めのハイキングシューズをはき、さあ出発だ。時計は6時40分であった。
樹林帯に入る

編笠山へ

ゴルフ場の駐車場を抜け、カラマツの森に入るとカエルと小鳥の合奏のお出迎えだ。登山道は緑の下草に囲まれている。しばらくは勾配のゆるい単調な登りが続く。やがて木々はツガ林に変わり勾配がきつくなるも展望は全くない。ひたすら森の斜面を登る。
中腹の標識。ここまで樹林帯を歩いてきた。展望はまったくない。

ようやく山頂手前の「しゃくなげ公園」に達した。ここからが今回のコースの核心部だ。コースは苔むした大岩となり、松の枝や岩を手がかりに登っていく。木々の間から南アルプスも展望できる。
上に登るに従って大きな岩が多くなる。シャクナゲ園の岩。

やがて森林限界を抜け岩稜帯となり、勾配もますますきつくなる。ルート識別は岩に大きく記された矢印だけが頼りだ。上を見上げても岩にはばまれて山頂を見ることはできない。とにかく目先の岩への対処に全精力を注ぐ。
森林限界を抜けたところ。大きな岩が次から次へと迫ってくる。




見下ろすと甲州街道筋の町が見える

このような標識に励まされながら登る

山頂より

岩の間を這うようにして登りつづけ、ようやく山頂に達したのが11時であった。山頂の展望はまさに360度だ。富士山、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳。しばし展望を楽しんだ後、青年小屋に向かって下りた。
青年小屋前から編笠山



権現を見上げる

青年小屋に着いたのは丁度昼時。どのグループもランチを楽しんでいる。私も間近の権現岳と編笠山を眺めながらランチをとる。そういえば何年か前に、編笠を登ったときはそのまま権現まで行ったことを思い出す。よくもあの権現まで歩いたものだ。今の私には考えられない。残念だが体力の衰えを実感す。
青年小屋より権現を見上げる

西岳へ

青年小屋から西岳まではツガ林の中を縫うようにして歩く。勾配はあまりない。途中に水場があり青年小屋でテン泊する人たちが汲みにきている。樹林帯を歩くこと1時間ほどで西岳に達する。西岳からはさきほど登った編笠山を裾野から全貌できる。ああ、自分はあの斜面を登ったのかと思うと感無量。山頂に居合わせたカップルと会話しながら20分ほどの休憩の後、いっきに西岳を下り、駐車場に戻ったのが15時40分であった。近くの「鹿の湯」で汗を流し中央高速を帰路につく。
西岳より編笠山を見る


感想

今回のコースの90%は森林限界より下。登山道は森の中なので、展望は全くない。日差しもないので足元に咲く花もない。ただただ歩くだけのトレーニングコースだ。本来なら、森林限界を超えたあとの展望、お花畑が醍醐味なのだろうがそのご褒美は望めない。やはり八ヶ岳は山小屋に泊まり、天上を歩いてこそ本来の魅力に接することが出来るのだと思う。

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