新雪の丹沢山へ

自宅から見える丹沢の尾根。奥に白く連なっている尾根の中央が丹沢山、右が蛭ヶ岳。

尾根は雪化粧

自宅から見る丹沢は冬化粧。青空に白峰が輝いている。あの白峰を歩いてみよう。ということで一路丹沢山を目指す。コースはヤビツ峠にある塩水橋から堂平を経るルート。前半は舗装された林道歩き、そして後半はいっきに丹沢山へ登りつめる。

スタート

塩水橋についたのは7時すぎ。車は数台しか止まっていない。この時間ではすでに沢山の車が駐車しているのでスペースを捜すのに苦労するのだが今日は余裕だ。朝の静寂に沢の音が響く。身づくろいをしてさあ出発。このコース、もう何回も歩いているので道中の様子はすべて分かっているつもりだ。まずは右手に沢の音を聞きながら、九十九折の林道を歩く。見上げる山々の尾根は白くなっている。やがて林道は薄っすらと凍結した雪で覆われる。まるでスケートリンクだ。崖面には氷柱が。木々の間から遠くスカイツリーが青空の下に屹立しているのがはっきりと見える。2時間ほどで林道を登りつめ、丹沢山への登り口に達する。この終点に丹沢山にある山小屋に荷揚げする車が止まっている。特別に林道への進入が許されているのだろう。
林道にかかる橋。昭和25年とあるので林道の古さが判る。


林道から沢を見下ろす

アイスバーン状態

天王寺尾根まで

さあ、いよいよここから登山道だ。小休止をかねて靴に愛用のチェンアイゼンを装着。標識には丹沢山まで1時間20分とあるが、とても今日はそんな時間では登れないだろう。林の中に踏み入れると一面雪に覆われている。いよいよ雪面歩きの開始だ。ゆっくりと歩を進めていると後ろから登山者が追い越す。今日はじめてみる登山者だ。挨拶をしたが無言。無愛想な奴だ。
ここから林の中へ入る


林の登山道には積雪が

杉林を抜けると視界が開け雪原となる

やがて登山道は潅木帯の急登に。いっきに標高を上げていく。踏み跡があるものの、靴は雪に沈んでしまう。あえぎながら登りやがて丹沢山に連なる天王寺尾根に達した。尾根は風も強い。こで愛用の赤いハードシェルを着る。この先は木も疎らとなり吹き曝しの登山道だ。小雪もちらついている。鎖場もあるし、などと問題点をいろいろと上げ「それでも行くか」と自問する。結論は「行ける所まで行く」だ。積雪は20センチぐらいだろうか。単独行はすべて自分で決めなくてはならない。リスクとチャレンジのバランスが難しい。
踏み跡だけが頼り

天王寺尾根にある標識

静かなブナ林

山頂へ

さあ、まずは最初の難関、鎖場だ。その鎖場、なんと鎖は雪の中に消えて一部だけ露出している。幸いなことに岩は露出しているので、足場は確保できそうだ。この難所を慎重に三点確保でクリア。しかし、この先はさらに急斜面だ。まだルートは完全には踏み固められていない。踏み間違えると谷底に滑落まちがいなし。不完全な踏み跡を頼りに一歩一歩と登る。一歩進むごとに山頂が近づくのが判る。もうここまで来たなら「戻る」という誘惑は完全に無くなる。やがて斜度も緩くなり木段が見えてきた。一段毎に山頂が近づく。さあもう少し。達成感とともに山頂に達した時はちょうど12時。4時間超の行程であった。
登山道途中から大山方面


尾根直下の木段から見上げる


山頂

山頂は約30センチぐらいの積雪か。休憩テーブルの足は完全に雪の中。テーブル板だけが雪の上にでている。人も少ない。静かな、しかし逞しい「みやま山荘」の佇みは登山者に安心を与えてくれる。玄関先の温度計はマイナス8度。風も吹いているので体感温度はさらに低い。取り急ぎ空腹を満たし早く下山しよう。もってきたオニギリを食べ、ポットの湯を飲む。こんな低温状態ではとにかく手早くできることが大切だ。ポットは必携品だ。なにしろペットボトルの水は凍ってしまっているし。
空腹にお湯とオニギリを与え、10本アイゼンで脚作りをして、さあ下山だ。
みやま山荘。普段は登山者でにぎわう山頂だが。
木々の間から蛭ヶ岳。さすが更に蛭に向かう登山者はほとんといない。

下山

登るときは背中に見ていた遠くの山々や相模湾、東京を今度は正面に見下ろしながら下る。足の置き場を間違えると膝まで脚は雪の中に。登ってくる登山者とすれ違い、核心部の岩場に。ここを登ってくるグループと譲り合いながらクリア。さあ、あとは林の中をいっきに下るだけ。途中山荘のボッカが休んでいた。この男、たしか登るときにすれ違ったはず。聞くと一日3往復するそうで、今日はあと1往復するとのこと。私なんかとはレベルが数段ちがう。
すれちがいの登山者

鎖場

舗装された林道に下りたのは14時20分。ここでゆっくりと温かいインスタント味噌汁を食し、林道を下り、デポした車に16時着。周りには後から着た車が数台駐車している。茨城県、新潟県の車もあった。冬季丹沢山は100名山ファンにとっては人気の山である。
今回の脚ごしらえ


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