北高尾山稜歩きでトレーニング

北高尾山稜は小さな起伏の続く約14キロの尾根道。日本100名城に選ばれた八王子城跡から陣馬山までつづく。展望もないことからあまり人気のないコースだ。しかし小さく続くアップダウンは累計で登り1200メートルにもなる。登山のトレーニングにはうってつけだ。今回はこの北高尾山稜を歩いてみた。
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出発

2018年4月21日、朝7時15分高尾発八王子城跡行きのバスに乗る。先に出た陣馬高原行のバスは満員で増発便まででたが、このバスの乗客は私と数人のグループ登山が一組だけ。下車後、閑散とした公園事務所前で支度を整えすぐにスタートだ。登山口である八王子神社の鳥居をくぐる。

今日は膝の調子を確認するため黙々と歩くだけ。ほどよい気温に空気も乾いているし今日は登山日和だ。歩き始めは慎重に足を運ぶ。約30分ほどで城跡の八王子神社に達する。ここから長い尾根道のスタートだ。尾根道にある道標は堂所山方面とある。この尾根道は堂所山で高尾の主稜と合流する。道も明瞭だ。だが展望はない。木々の間から時折景信山が見え隠れする。黙々と足を運んでいるとやがてトレランの人たちが何組も私を追い越していった。たしかにこの尾根道は登山者も少ないのでトレランのトレーニングにはいい環境かもしれない。
この古井戸まだ水を汲めるし飲んだこともある

尾根道

静かな尾根道をホーホーという筒鳥の声(まるで人を誘うように鳴く)を聞きながら歩く。足元に咲く花も少ないし、桜も散ってしまった。こんなときは自分の身体と対話しながら歩く。最適な足運び、最適なペース、最適な水分栄養補給など。たしか串田孫一氏は登山とは思考と行動が一致する行為だと言った。たしかにそうだ。このコースを一人で歩くということはまさに思考と行動の一致だ。登りのあとには下り、そしてまた登り。ただただ目の前の登り、下りのことだけを考えて歩く。3時間も歩くとこのアップダウンは身体にかなり効いてくる。そんなときはあまり休まずにペースを落として歩く。停滞して荷をほどくのはかえって疲れが表出するような気がする。誰か「歩きながら休む」と言っていたっけ。惰性で小さく足をだし、慣性で身体をその足に乗せる。そのように、ゆっくりとゆっくりと堂所山を目指す。もう何回上り下りを繰り返しただろうか。着実に堂所までの距離を縮めていく。道標によると堂所までスタート地点から約9キロだ。道標を見るだびにその堂所が近くなる。やがて最後の登りを詰めて堂所に達したのが12時半。ここまで約5時間を要した。
尾根道ではツツジが咲き始めていた

桜散る

堂所山から陣馬山
堂所山では小休止にとどめ、高尾の主稜線と合流して陣馬を目指す。さすが主稜線だ。ここまでの静けさから一転して登山者の声が登山道に賑やかに響く。陣馬の手前、明王峠で霞んだ富士を眺めながらランチを採り、やがて陣馬への長く緩い登りを登り詰め、陣馬山に達したのは14時。この最後の陣馬への登りは疲れた身体にきつかった。が、陣馬の白いオブジェが無言で私を迎えてくれた。山頂はグループ登山、家族登山の人々で賑わっている。国際色も豊かだ。

主稜線は多くの登山者がいきかう

明王峠の賑わい
陣馬山のオブジェ

下山

一休みしながらここからどこへ下るかバス時刻表をみながら考える。ここからは陣馬高原下と和田の2箇所の下山先がある。結局バス時刻に余裕のある和田へ下ることとした。ところが和田に下りてみるとバス停では登山者で溢れ返っているではないか。静かな山里のバス停をイメージしていたのに。そうか、あの高尾から陣馬高原下行きのバスは臨時便をだすほど混んでいたっけ。あのハイカーたちが陣馬山に登ってここに下ってきたのだ。複雑な思いで合点して今日の山行を終えた。
バスを待つ登山者たち

今回の行程で出会った花
タチツボスミレ

ヒトリシズカ

ヘビイチゴ

チゴユリ

クサイチゴ

イカリソウ


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